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東京をアジアの金融ハブへ(8)

金融都市東京

もう彼女無しでは生きていけない!?

さて、前回まで法規制の話をしましたが、東京に金融人材を呼ぶのであればその家族も含めた生活も重要です。金融人材に関わらず香港で生活をしているビジネスマン一家がそのまま日本に移住できるのか、考えてみます。

香港にいると働いている女性が多いことに気がつきます。その中にはお腹の大きな女性もしばしば見かけます。仕事柄法律事務所の弁護士と会議をすることも多いのですが、出席者が全員女性などということも珍しくありません。これは女性の社会進出が進んでいるとか男女平等意識が高いとかそんな小難しいことを言う前に、単純にヘルパー制度が整備されいるからというのが理由です。

香港に初めて住み始めた日が日曜日だったのですが、散歩に外に出るとアジア系の女性が歩道をびっしりと占拠してトランプしたりお菓子を食べたりして楽しんでいるのに遭遇しました。何かのイベントの席とり?お祭り?と、頭に?マークが飛び交ったのですが、後から理由がわかって納得しました。香港で雇われているヘルパーさん達が休暇の日曜日に一斉に歩道や空いたスペースに陣取って1日過ごしているのでした(日本だと近所からうるさいとか、邪魔だとかすぐに苦情が飛んできそう)。

香港の人たちは香港人、外国人を問わず、特段富裕層でなくても普通にヘルパーを雇います。正式にはフォーリン・ドメスティック・ヘルパーと言って女性だけで無く男性もいます。仕事の内容も一番多いのは家事一般、子供の世話、高齢の親の介護ですがそのほか、裕福なところでは運転手、庭の手入れ等々、家庭内の仕事一般全てになります。香港人と結婚した友人の女性が、夫が自分の脱いだ服も脱ぎっぱなしで一切片付けないので小言を言ったら、「それはヘルパーの仕事で僕は小さな頃からそう育てられている。」と反論されて文化の違いだと嘆いてました。

このヘルパーさんのおかげで、女性も当然のように外で働くことができます。保育園も不要ですし、子供が病気だからと休暇を取る必要もありません。妊娠中もギリギリまで、また出産後もすぐに仕事に戻ることができます。親の介護で会社を辞めたり、施設を探して飛び回ったりという心配もありません。こちらで知り合った香港人なんかと話していると「で、奥様は何の仕事をしているの?」と普通に聞かれます。

ヘルパーさんは通常の労働ビザとは別にヘルパー専用のビザで就業しています。このビザには例えば更新は必ず2年毎すること、長期滞在しても永久居住権は得られないこと、扶養家族は連れてこられないこと、等の制約がありますが、ビザそのものは比較的簡単に出されます。一方で、最低賃金の保証(住み込みで日本円で約月7万円ぐらい)、雇主が食住を提供する義務、雇主がヘルパー保険の費用を負担する義務、一定の条件を定めた労働契約を締結する義務とか、ヘルパーさんを保護する制度も充実しています。どこかの国のように研修生名目で入国させて低賃金で酷使するようなことはできません。

このヘルパーさん、特に家事をお願いするヘルパーさんは母国で研修を受けてくるようで、当たり外れはありますが、そのスキルはかなり高いです。今私が雇っている住込のヘルパーさん、いつもトイレや風呂はホテル並みにピカピカ、洗濯物も溜まることなく、洗濯したシャツ等はピシッとアイロンかかってユニクロの棚のようにきちんと並んでます。毎日の犬の散歩と世話(やんちゃなポメラニアン2匹)も完璧にこなしてもらって言うことなしです。香港でヘルパーさんのいる快適な暮らしを経験してまだたったの数年ですが、もう彼女なしでは生きていけない(!?)状態になってます。

これって、よく考えると経済的にも非常に合理的で、夫婦の片方または両方が家事や育児、介護のために就労の機会を奪われることに比べれば、それより小さなコストでその機会損失を回避する最良の方法です。

でも日本ではなんでこのヘルパー制度がないんだろう?何年か前に海外からのヘルパーに労働ビザを与える制度ができたような覚えがありますが、確か(詳しくないんで間違ってたらごめんなさい)指定の場所で指定の期間有料で研修を受けること(これが長くて高い)、試験に合格すること(日本人でも読めないような漢字テストをしていたのはこの介護ヘルパーだったかな?)、指定の民間企業の従業員になること(利権?)、報酬は日本の他のヘルパーさんと同等(時給2〜3,000円)とすること(事実上、外国人ヘルパーを使いにくくする?)等の規制でまるで使えないものです。これもどこをみて制度を作っているのか全くわからない例ですね。香港(やシンガポール)にある外国人ヘルパー制度の導入が、「保育園おちた!」問題や、寿退社の風習、子供を持つ親の勤務体制の問題、介護の問題、女性の就労率のM字カーブ問題等々を全て抜本的に解決する最良かつ現実的方法と思っているんですが、日本に導入されるのを期待するのは無理なのかな?と考えていたらタイミング良くこんな東京新聞の記事を見つけました。これでは駄目だ。

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他にも、香港に来て知ってしまったらもう戻れないというものはいくつもあります。続きは次回で。