Facebookはこちら

明るい香港(1)

明るい香港

こんにちは。香港在住弁護士のマイクです。

香港のことを書こうと思います。明るい香港のことを。

香港に住んでいると、日本に住んでいる友人や仕事仲間から
「生活は大丈夫か?」
「仕事まだできるのか?」
「早く戻った方がいいんじゃないか?」
と、色々心配されます。2019年頃から激しかったデモやその後に制定された国安法で日本から見ると香港はとても仕事を続ける場所ではないと思われているようです。

違うんだなー。

実際に住んでいて感じる香港と日本に住んでいる友人からの印象とのギャップがあまりに大きいのでその度に訂正してきたけど、キリがないのでここで書きます。なぜ、僕が香港を離れようとは1ミリも考えていないのか。もちろん、いろんなネガティブなこともあります。それは十分伝えられているのでここでは敢えて触れません。

一言えいえば、「香港の将来が楽しみ」だからです。

少し前から香港サイエンスパークを拠点に仕事をしている香港のビジネスマン何人かと友達になりました。そのおかげで、サイエンスパークに通って会議をしたりオフィス訪ねたり仕組みを教えてもらったりしましたが、これがなかなか凄いんです。

サイエンスパークは、香港政府が強力にバックアップしているインキュベーションセンターで、バイオ・メディカル系、ロボティクス系のハード系の研究者やスタートアップが集まっています。香港にはもう一つサイバーポートというインキュベーションセンターがあって、こちらにはその名の通りフィンテック、AI、ブロックチェーン等のサイバー系のスタートアップが集まっています。

このどちらの施設も感心するのは、その人的・物的援助が手厚いこと、世界中に門戸を開いて海外の(もちろん日本も)優秀な研究者や起業家を歓迎していること、そして全ての手続きが非常に迅速に行われていること、起業がうまくいけばその後の事業展開まで支援することです。サイエンスパークにオフィスを構えることが条件にはなりますが、将来性のある新技術の開発として審査が通れば、オフィス賃料は補助によってほとんどタダのようなもので、加えて香港にある各大学の研究者を紹介してくれたり、雇用するときには報酬もかなりの額まで補助が出ます。何より、周りに似たような研究者や起業家が集まって日々雑談したり食事したりしてますから(レストランやカフェはもちろん、プールやジムも完備)、業務提携や資本提携の話、色々な情報交換もジムで汗を流しながらできることになります。

深圳がいい例でしょう。
数年前に深圳を訪問したとき、テンセント本社の近くにあったインキュベーションセンターを見学させてもらい、手厚い人的・物的補助があるから世界中から起業家が集まって日々新たな技術が生まれているという話を聞きました。
深圳の活気を肌で感じたんですが、今サイエンスパークにそれと同じ活気を感じています。
1980年に人口30万程度の地方都市だった深圳は、経済特区に指定されて以来、中国をはじめ世界中から才能と意欲あふれる若者が集まり、たった40年で東京をもしのぐ1400万人都市となりました。GDPも当時は香港の0.2%程度(2億7000万元)だったのに、その額は40年で1万倍(2兆7000億元)にもなって今では香港もしのぐGDP(その間香港もGDPは20倍になってはいるのですが・・・)を打ち出しています。ここでファーウエイ、テンセント、BYD、DJIが生まれたのも当然の帰結ですね。

今、中国はこの深圳の成功と香港の国際都市としての機能をGreater Bay Area構想で結びつけて化学反応を起こさせようとしています。香港、マカオ、(深圳を含む)広東省を一つの経済特区として位置づけさらに発展させることを目論んでいます。香港の立ち位置は、もう単なる中国の特別行政区や金融ゲートウエイに留まりません。深圳や香港だけでもでかいのに、どこまで拡大するのだろうと思うような大きな経済特区の中心です。

こんな楽しみな香港から逃げ出すわけがないでしょ。