Facebookはこちら

明るい香港(2)

明るい香港

こんにちは。香港在住弁護士のマイクです。

さて、香港がグレーター・ベイ・エリア(GBA)の中心となって今後発展するといったところで、そんなのいつ政策が変わるかわからないじゃないか、中国は民主国家じゃないからいつでも勝手に規制をかけてくるし、都合よくルールも変えるし。そんな声が聞こえてきそうです。でも、

ご安心ください。

中国が社会主義国家、もう少し適切にいうと一党独裁の専制主義国家であることは、政策や規制を党の都合で勝手にいつでも変更されるということと同義ではありません。民主主義であれ、専制主義であれ、その結果選任された統治者がどのようにその国を治めているかが問題です。

私たちは、生まれた時から民主主義が正しいと教わり、天安門事件を嘆き、香港での民主化運動の鎮圧に抗議していました。中国のような民主化できない専制主義国家は不幸であると。でも、よく考えてみると、現在たまたま覇権国のアメリカとその前の覇権国イギリスが民主主義だったたために、民主主義が絶対真理であると信じているにすぎません。

一方中国はその長い歴史上一度も民主主義国家になることなく皇帝や国家主席が国を治めてきました。その根底には中国の天子が天下の中心であるとする中華思想が流れていますから、中国が中国である限り今後も民主主義国家になることはありません。中国にとってはそれが絶対真理です。

民主主義も専制主義も国家の統治を一人の代表者に委託することは同じで、違うのは主権者たる人民が選ぶのか、君主等の権力者が選ぶのかという選任方法です。国が栄えるか否か、統治者が人民からの支持を得るか否かは選任された統治者次第です。

民主主義は主権者たる人民の総意を反映させるので、選任した時点でその統治者が人民から支持を得た「正しい」人物と推定されます。この仕組み自体で統治者の正当性が担保されますので、統治の結果はその正当性の確認作業です。成績不良の場合、次の選挙で落選し別の人が統治者になります。

一方専制主義の場合、選任に民意は反映されないので選任された時点で「正しい」との推定はされません。その統治者が正しく優れた人物として人民から支持を得るためには国を発展させるという結果で示すしかありません。不幸にも無能な者を統治者としてしまった国は、他国に侵略されて滅びるか革命が起こるかどちらかです。

専制主義国家でも優れた統治者は出てきます。シンガポールがいい例でしょう。専制主義国家の統治者が優れた者である場合、長期計画に基づき国家は安定し繁栄します。

中国も統治者が正しいことを国民に示して支持を得るために結果が重要です。鄧小平さんから習近平さんに至るまでの中国の経済成長を見ると、誰も反論できません。

話を香港に戻しましょう。
香港は一度も民主主義になっていません。1997年の中国返還前はイギリスの植民地だった訳ですし、中国返還後は中国の行政区の一つですから、専制主義です。なので、統治者たる習近平さんが香港をどう考えているか、香港行政長官のキャリー・ラムさんがどう統治していくかが重要です。
香港では行政長官による毎年の施政方針演説 (Policy Address)で、香港が今後何を計画し、何を実行するのかを細部にわたって説明します。キャリー・ラムさんはこれを10月に行なっていますので、最新は昨年の2020 Policy Addressですが、これを読み解くと、中国が香港をどう考えているのか、香港が今後どのようになるのか、GBAが今後どう展開するのか、サイエンスパークをはじめとする技術開発をどうするのか、色々具体的に見えてきます。読むとワクワクします。

次回、解説します。

←|→