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東京をアジアの金融ハブへ 提言(2)

金融都市東京

タックスヘイブン作ろうよ。

こんにちは。香港在住弁護士のマイクです。

さていよいよ本題。僕が考えている本気で東京を金融ハブにする方法です。

① 沖縄を金融特区にして法人税、所得税をなくす。特区特別金融局を設置し、ファンド組成手続きとそこで組成されるファンドの監督にあたる。手続きは簡素化されてもちろん全て英語。つまり日本管轄地内に「ケイマン」を作る。

② 東京近郊にもう一つ金融特区を作る。ファンドマネージャーがここに拠点を置き一定の要件満たすファンド(沖縄に設置されたファンドは当然にその要件を満たす)を運用する場合にはファンドの収益は日本非課税とする。ファンドマネージャーのファンドビジネスの所得税は15%程度。もちろん特区内は登録等の手続きは全て英語。登録要件も緩和。つまりこの特区を「香港」にする。

③ 金商法等の関連法を金融ハブとして必要な範囲で改正

いやー、そりゃ無理っていう声が聞こえてきそうです。だけど、もう小手先でちょこちょこ法律や税制を変えてさあどうぞって言ってる段階ではないでしょ。まずは最低限でも香港で運用されるファンドと同じ土俵を作る。香港ではケイマンなどのタックスヘイブンにファンドを組成し(ただ、今後は香港内にも組成できる)、ファンドマネージャーを香港においてファンド運用してます。ファンドはケイマンはもちろん香港でも非課税です。せめてこれと同じにしなきゃ。

もう少し詳しく説明します。まず、香港はすでに自国でファンド組成ができる仕組みを作っているので、日本でも国内に「ケイマン」が必要です。タックスヘイブンって何か富裕層の脱税とか裏社会の資金の隠し場所とか色々マイナスイメージが強いんですが、ファンドのような資産運用ビジネスには不可欠なものなんです。ファンド投資家の主要プレイヤーである機関投資家はそれ自体一つのファンドなので、その資金を世界中の資産に効率よく投資する義務を負っています。そのため色々な投資ファンドを利用するんですが、そこには投資家の所在国、ファンドの所在国、ファンドマネージャーの所在国、ファンドが投資する資産の所在国と管轄地がいくつも出てきます。投資家は、それらの国の法規制と税制を検討しなければならないので結構複雑です。まず、投資家の所在国で課税されることは当然なので受け入れます。また、投資資産所在国の税金も投資家が直接その資産に投資する場合と同じものであれば受け入れます。しかし、ファンド所在国やファンドマネージャーの所在国で課税されたり、投資資産の所在国で追加の課税をされることは無駄なコストになるので受け入れられません。だからファンド運用においてファンド組成はタックスヘイブンの「ケイマン」でなされ、「ケイマン」ファンドを運用する限りファンド自体に課税しないという「香港」でファンドマネージャーはファンド運営をするのです。これらが提言の①と②になります。

で、最後の③。以前載せた最近の日経記事(「東京をアジアの金融ハブへ(10)」)やこれまで色々報道されている内容を読んでみると、「国内投資家」の投資割合が云々のファンドとか、日本に来た外国人の所得税や相続税の改正とか。相変わらず国内と国外という発想から抜けていません。国内投資家と国外投資家、日本人と外国人という括りで法制度を改正しようとする時点で致命的なミスを犯してます。これではとてもアジアの金融ハブなんてなれません。

だけどこれって実は根が深い話なんです。

金融商品取引法は第1条で「国民経済の健全な発展及び投資者の保護」をはっきりと謳ってます。つまりこの法律で保護しようとしているのは国民(「居住者」のが正確かもだけど)です。保護すべき投資家も国内投資家です。なので今考えられている改正も国内投資家と国外投資家、日本人と外国人という括りになってしまうんです。でもこれは海外投資家も呼び込む国際金融都市を目指すという視点と矛盾します。例えば、国外投資家のみからなるファンドを日本にいるファンドマネージャーが国外資産だけに投資する場合、金商法の適用はないなんてことになりかねません。それだと日本は無法地帯?それはおかしい。

ファンドビジネスを行う上で投資家の国籍などは問題ではありません。どこの国の投資家であっても同じルールのもとでファンドが組成され、ファンドマネージャーは同じルールに従ってこれを運用します。重要なのは適法に集めた資金が適法に運用されているかなのであってどこの国か(一部国で規制しているものはありますが)ではありません。そのためにファンド組成地に設置される監督庁は違法や不当な資金が流入しない様監視し、ファンドマネージャーの所在国はマネージャーにどのファンドを運営するかに関わらず同じ規制をかけて悪徳業者を排除しています。実際に香港でのファンド運営はそうなってます。

そうやって考えると、結局、東京を真に国際的な金融ハブにしたいならば金商法の基本理念を変えなければならないことになります。つまり、国民経済の発展と(国内)投資家の保護ではなく、世界経済の発展と(国内外の)投資家保護に資するための金融サービスを日本で提供することを基本理念とし、それに沿った改正が必要です。さらに言えば、国内投資家保護の名目の下、日本からは法律上、事実上投資できない金融商品もかなりあります。これらをひっくるめて改正しなければならない。これは大変だ。でもこれが本当に必要な改革と思っています。

続きは次回に。